ヒカゲノカズラとヤドリギ (その1)

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お話は前後しますが、「無ら里」での花巻教室について、ちょっとだけご紹介したいことがあります。ちまたではクリスマス一色ですが、11月半ば、真冬に向かっての岩手の山のお話です。
写真はヒカゲノカズラ、地を這うようにしてひっそりと生きていました。
これを見つけてくださったのが、花巻の実家のそばにある山愛緑化さんの及川社長。私より少し先輩の山男です。彼に聞けば山の植物のことならほとんど分かる、、、と紹介され、急遽お仕事で県北にいかれる及川さんにくっついて行くことになりました。お忙しい中嫌な顔もせず「その辺で遊んでて!」と、ブナの森で放し飼いにされました(笑)。


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 雪こそ降りませんでしたが、山は空気までグレイ。どこまでも続くブナとカラマツの森です。オレはずっとここにいる、、、とばかりに苔の生えたブナが霧の中に何本も佇んでいます。その美しさにため息がでました。触って匂いをかいで、見上げて...灰色の空に枝や幹を張り巡らせるブナは繊細なのに力強く、魅力的な姿をしています。そのまま額に入れて飾りたいような色と表情をしているのです。ヘタッピな私の写真からどれだけ分かっていただけるか、いやいや、こんなものではないのです、ほんとうはね。


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及川さんには、事情を説明して、岩手での仕事はできれば岩手の植物を使いたいとお願いしました。私がヒカゲノカズラとヤドリギを探している話をしましたら、「みだごどあるな。」とおっしゃってくださり、二つ返事で了解をしてくださったのです。ならばご一緒に!というわけで、どこに連れて行ってくださるかもわからぬまま、高速道をひたすら北へ。途中行きつけのお店でしょうか、豆腐屋さんが商う食堂でお昼をごちそうになり(お願いしてくっついてきているのに、お昼までご馳走になりました。すいません!)、身も心も暖かくなったところで、目的地に向かいます。途中車とすれ違うことが一度もないような山奥。なんと我々の前をカモシカが。。。この辺りはクマもでるんだよね〜と、あっさり言う及川さん。なるほどなぁと頷けるエリアなのです。


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 ここからはまるでパリ・ダカールラリーの世界。4WDの大きな車が腰までの草木の生える中を大きくうねりながら進みます。「このあだりだなあ。。。」と、及川さん。私も車を降りて、一緒にしゃがんで枯れ草をどけると。。。あった、あった、ヒカゲノカズラ!あの瞬間、まるで体中の血液がお湯に変ったような、とても温かい気持ちになりました。ヒカゲノカズラは手にしたことがあっても、生息している場所でその様を見たのは初めて。見つけてもそれを採取するのは手間のかかる作業です。何しろ枯れ草の下で地面にへばりつくように根をつけていますから、その根をはがしながら、できるだけ長い状態のものを探して取るのです。一年にどれくらい成長するか、詳しくはわかりませんが、仕事で使うお正月のしつらえ用のものは1メートル以上のもの、、、なかなか見つかりません。いや、何センチでもいいと乱獲するのは避けたい。まずは見つけたことを良しとしよう。 


 
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帰路の途中、ずっと私は窓の外を見ていました。見上げてと言った方がいいかもしれません。車道の両脇に生えるブナをずっと観察していました。ヤドリギは鳥の巣のような丸い物体で、手の届きそうもない高い場所に生息しています。遠くの山のブナ林にも、時々真ん丸の物体が見えます。車中では及川さんと仕事の話や植物の話をしてましたが、実は気持ちはヤドリギのことばかり考えていました。ヤドリギの話になると長くなりそうなくらい、ずっと憧れてきた植物ですが、詳しく知れば知るほど実物を見たいという気持ちがつのり、もっと知りたいと言う好奇心が疼くのです。
 ヨーロッパでは神聖な植物とされていて、クリスマスシーズンには玄関やドアに飾る風習があります。日本で言うならお正月の松飾りでしょうか、昔は家長である男が松飾り用の松を探しに山に入ったように、ヨーロッパでも森にヤドリギを探しにいったのかもしれません。

そんな私の怪しい行動を察知し、及川さんが車を停めて、ヤドリギのある大きな木(あれはブナではなくナラだったかなあ)に登ってくれましたが、手が届かず断念。本当にいい方です。後日、無ら里で教室をしている最中、エントランスに置いて行ってくれました。会社の若い人に採りにいかせたのだとか。。。涙が出るほど嬉しかったのは言うまでもありません。私には誰よりも早く訪れてくれたサンタクロース、それが及川さんです。心から感謝しています。ありがとうございました。
そしてこのヤドリギ、一株(株と言っていいものかどうか。。。)は無ら里さんに置いて、もう一株をいただきました。この夜鎌倉に帰る私のために、母が麻ひもで枝を上手に養生してくれてこのまま新幹線に同乗、無事に持ち帰ることができました。みんなみんなありがたい。私はこうして人様のお世話になりながら仕事をさせていただいてます。多謝。 

タイトルに「ヒカゲノカズラとヤドリギ その1」としたのは、私の植物への思いをもう少しお話ししようかなあと。続きはまた後ほど。




 
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Commented by amamori120 at 2014-12-07 22:28
miki先生   こんばんHA

良き先達さんに会えてラッキー・・・でしたねぇ♪


寒いです
ご安全にぃ
Commented by miki3998 at 2014-12-08 02:20
★雨漏り先生、コメントありがとうございます。
 地道にコツコツやってたらいいことあるんですね。しかも灯台下暗し...実家の岩手に探していた植物があったなんて。救いの神様がいてくださったのだと思います。日に日に寒さが厳しくなります。ご自愛を!
Commented by aamui at 2014-12-13 06:34
お早うございます ブナの苔の写真に吸い込まれました 十分伝わりました 有難うございます
Commented by mamemamet at 2014-12-14 11:15 x
こんにちは。
森の空気や情景が浮かびます。
原生に感動しました。
今年も、充実の年を過ごされたことを感じました。
少し早いですが、よいお年をお迎え下さいね。
mikiさんのよころにおじゃましますと、心がすーっ
と清らかになります。
Commented by miki3998 at 2014-12-19 19:19
★aamuiさん、お返事遅くなりました。ごめんなさい。

 11月の初めのことでしたのに、いまでもあのブナの森を忘れられません。すべてを思い出しながらリースを作っています。
Commented by miki3998 at 2014-12-19 19:23
★mamemametさん、コメントありがとうございます。
 この仕事をしながら、まだまだ知らないことがたくさんあるなあと。北鎌倉も溢れるほどの緑に囲まれていると思っていましたが、こちらはもっと自然のベースであるところで、流れる空気も匂いもまったく初めての感覚の中にいました。心を空っぽにしてずっと浸っていたいような。。。ブナに生えた蒼い苔の美しさには言葉を失うほどでした。行ってよかったです。
by miki3998 | 2014-12-07 10:22 | 花巻  宮沢賢治 | Trackback | Comments(6)

風と海と丹沢が好き。山の家での毎日を綴っています。鎌倉FMのパーソナリティです。


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