暮れも押し迫ってきました。列島は大寒波到来のようで、日が落ちるとじわじわと足元から冷え込んできます。
草花教室のリースのレッスンも、先週の銀座教室で終了いたしました。現在オーダーリースの製作、発送の手配を着々と。20日には皆様の元に『冬のリース、森のリース」が届くと思います。どうぞお楽しみに。
そして来週25日、26日、27日は「お正月のしつらい」のお稽古です。今年最後のレッスンがヒカゲノカズラを使ってということで、とても嬉しく思っています。それもすべて採集にご協力いただいた方々のお蔭です。なぜヒカゲノカズラにこだわるのか、そこからお話しなければなりませんが、けしてこれでなければということではありません。ヤドリギもそうですが、基本的には植物に甲乙つけることなく、まずは知っていただきたくてご紹介しています。それはまた一過性の流行に終わって欲しくないとも考えております。地方によってはお正月の迎え方やお飾りの素材、形、しつらえ方も違います。それぞれまずは知ること、そしてそこから興味が湧き、自分の暮らしに合ったしつらいが生まれるような気がします。慌ただしく時が過ぎても、これだけは自分のスタイルで迎えたいというこだわり、それが習慣となると暮らしはより美しくなるのではないでしょうか。
リースに使いましたが、どちらかというとお正月に需要の多いヒカゲノカズラ。岩手山の麓近くの山奥まで採集に行き、どんな状態で生息しているのか見てきました。1メートル以上の長い状態で採取するのがどれだけ大変か身を持って知り、市場ではなかなか手に入りにくい(短い栽培種ならありますが)事情も理解できた気がします。地面を這うように生えていて、5センチ間隔くらいに根が生えていますから、丁寧に持ち上げながら途中切れないように採ります。しかも上には枯れ草が覆っていて、腰を屈めながら探すのです。関西ではお正月の蓬萊飾りとして2〜3メートルくらいのものを数十本束ねて飾ります。とてもそんな長いものを集めるのは大変です。写真のように色鮮やかでフワフワのモールのような質感のものが上等だと言えるでしょう。
ヒカゲノカズラは日本の山に自生し、一年中青々と枯れないことからめでたいとされています。関西では、お正月に欠かせない『掛蓬莱』として床の間などに飾られます。青々と言えば松飾りもそうですね。昔は家長が山に入り、松を採ってきて自前で門松を作っていました。無病息災、商売繁盛や五穀豊穣、一族の繁栄を願い蓬萊飾りや松飾りなど、それぞれの暮らしに合ったお飾りが受け継がれて来たのだと思います。ちなみに実家では農家の方が作った注連縄や橙のついたシンプルなお飾りを玄関に飾ります。北鎌倉の拙宅は、お世話になっている庭師のお兄さんに頼んで小さな門松を据えてもらっています。神様は尖ったものをめがけて降りてくるのだとか。。。
暦の上では13日の「事始め」にはすす祓い(大掃除)から始まりますが、お正月の準備よりクリスマスのプランをたてたリお歳暮のお届けや年賀状を書いたり。。。いつもながら大晦日まで走りっぱなしの師走。仕事の手をとめて一息ついて今年を振り返ると、病気もせず家族が仲睦まじく暮らし、笑って過ごせることのありがたさを改めて感じます。残りの半月を、つつがなく過ごせるよう、もうひと頑張り。
昨夜完成したリースには、ヒカゲノカズラとドライになったヤドリギを使っています。今年出会ってお世話になったあの方に。。。
今年最後のリースは新しい始まりの日のための贈り物として、カードとお気に入りのオーナメントを添えてお届けしたいと思っています。