山口から博多へ その2 「大分 天領日田への旅」
2017年 04月 27日
山口での二日間の仕事を終え、友人の待つ博多へと九州新幹線に乗りました。のった車両も「さくら」、車窓からは満開の桜が見送ってくれて、まさに春爛漫。博多到着後すぐ友人の車で大分は日田へとドライブがてらある建物を拝見に出かけました。
日田といえば、江戸幕府の西国筋郡代の役所が置かれ、九州随一の繁栄を極めた地域。旧家には今でも豪華絢爛たる雛人形が残されています。一般公開は2月中旬から3月末まで「天領日田ひなまつり」が開催され、歴史ある旧家の雛人形を見学して回れるようです。
〈嶋屋本家のおきあげ雛〉
今回お邪魔した豆田町にある岩尾薬舗日本丸館は、国の有形文化財に指定されています。安政2年に薬種屋を開業してから昭和40年まで90年もの間製造販売をしていた豪商です。またその建物は江戸時代から昭和にかけて増改築されたもので、その時代には珍しい三階建、二階にはルーフバルコニー、三階は展望室という、豆田の天守閣とも呼ばれた栄華を極めたもの。中の作りも贅沢で、欄間や襖、床の間や階段の意匠も素晴らしく、ただただため息、新しいものと古いものが混在する興味深いしつらいと、家族が大切にしてきた調度品や思い出の品が数多く飾られており、興味深くじっくりと隠宅まで見せていただきました。
今この家屋の半分は資料館になっていますが、もう半分はギャラリー「連」として、使われています。1階正面の木彫りの軒飾りも凝った作りで、引き戸を開けて階段を上がった2階がレンタルスペース。母屋の奥の間として33畳もある広い空間が各種展示会へと活用されています。
もし仕事をさせて頂くなら、近くの山里から季節の草花を集めて、地元の作家さんの器に生けて見たい…そんなことを思った空間でした。地産地消と言いますが、吹く風も囀る鳥もその土地の匂いも、草花に染み付いているのではと思う時があります。その場で集めた草花をその土地で生けて飾れたら、こんなに楽しい仕事はありません。いつかそんな日がくればなあと思った日田への旅でした。