イグネ 〜仙台平野に浮かぶ緑の島〜 を観て


二度も見てしまった。
BS3 プレミアムカフェ「イグネ 〜仙台平野に浮かぶ緑の島〜」

長喜城と呼ばれる集落のお話である。初回放送は2002年、仙台市内の農業を営む人達の一年を追った内容で、じっくり丁寧に作られていて見応えがあった。
宮城県出身の父の実家を思い出させる場面が多々あり、懐かしさで番組を見ている途中花巻の母に電話をし、父に知らせた。
「今何見てるの?BS3チャンネルつけて見てね。」


イグネとは、家屋敷を風雪から守り、建材や燃料として利用するために周囲を取り囲むように植えられた屋敷林のこと。杉や欅、柏に檜葉、食料となる栗や胡桃、梅や銀杏など。
「イ」は家のことであり、「クネ」は地境を表すのだそうだ。私の実家花巻でも見かけるけれど、イグネと呼ぶかどうかは知らなかった。
長喜城のイグネは、仙台の緑の名所100選にも選ばれるほど、水田地帯に浮かぶ緑の島として有名らしい。もともと中世の豪族がこの地に館を築き、「喜びに満ちた不朽の城であるように」との願いを込めてつけられた屋敷名がそのまま地名となったのだそうだ。(仙台市のウェブからお借りした資料)



番組は庄司さんと大泉さん、二組の農家のご夫婦とその家族の暮らしを追っている。いずれのご夫婦も60代、愛情深く謙虚で、暮らしの知恵に長けている。大家族として代々続くしきたりや風習を守り、賢明に生きておられる。どこを切り取っても自然で、歳時記にそった生活を営んでいるのだ。祖父母として、息子夫婦として、孫として…それぞれの役目を無理なく坦々とこなし、その家の暮らしが成り立っている。
もちろん自分たちだけではない。時には集落をまとめ、助け合い、長喜城の将来を思い、後に続く者たちへ引き継いで行く。


心に残った場面がある。
庄司さんのお母さんの卒寿の祝いの会で、親戚中が集まり思い出話や励ましの言葉をかけた後、家族みんなでお婆さんの好きな童謡『浜千鳥』を合唱するのだ。お婆さんは指で指揮棒を振り、感激で涙を流す。家族みんなで歌えるのにもびっくりしたが、寝たきりでいるお婆さんが元気に歌いながら指揮棒を振る表情にも驚いた。みんなで祝い堅い絆で結ばれた家族。気取らず気張らず、どの顔も気持ちよさそうに歌う大家族。夜叉孫たちのいたわりの言葉もいい。見ているこちらまで目頭が熱くなった。



15年の間にはいろんなことがあっただろう。平成15年の新年を迎えたところで番組は終わる。その間に大泉さんは亡くなり、震災でそれぞれの家は全壊した。月日が経ち息子や孫の代に変わるが、みんな祖父や父の農業を継いで頑張っているそうだ。イグネの共同体も健在だ。

エンディングは元気な大泉さんと奥さんの玲子さんが、風で飛んできた菩提樹のタネを育苗のためにポットに植えるところで終わる。お二人で「菩提樹」の歌を口ずさみながら。なんて素晴らしいご夫婦なのだろう。静かな感動をいただいた。

先日家族揃って誕生祝いをしてもらった。実は嫁さんも同じ10月1日生まれで、毎年こうして祝ってもらっている。おかげさまで孫たちも元気だ。下の子がやっと「オバアタン。」と言えるようになった。さもないことだが、日頃の生活の中でこんな瞬間が何よりの喜びであり、幸せなのだと改めて周囲の人々に感謝するばかりだ。一年一年、ささやかな喜びを積み重ねていけたらと思う。

Commented by amamori120 at 2017-10-12 23:42
屋敷林のことを仙台地方では イグネ と言ふのですね

関係ないけど ハングルで ナグネ は旅人のこと
ハズしましたぁ <(_ _)>

第二次 藤沢周平マイブームのせいで 時代劇専門チャンネルばかり観ている拙ですぅ (^_-)
Commented by miki3998 at 2017-10-13 02:46
雨漏り先生、おばんです。
岩手ではエグネだそうです。家を「え」と呼ぶからです(教えていただきました)。

BS3で、ちかく藤沢周平の子育てを含んだ彼自身のドラマが放送されるようですよ。奥様を亡くし、男手ひとつでお嬢さんを育てた物語です。(山本周五郎物語もあります)私も作品が好きで、同じく時代劇チャンネルは欠かせません。池波正太郎もはずせない…
Commented by hanamomo08 at 2017-10-13 09:03
あらためまして、お誕生日おめでとう♪
今日の記事わたしも何度も何度も見た番組です、大泉さんの笑顔まで思い出せます。
いい番組でしたね。
再放送も母と一緒に三度くらい見ましたよ。
今も外付けのハードデスクに残っています。
感動的な番組でした。
あの輝かしい日々のあとにあんな震災がおこるなんてね。

ケーキの写真にmikiさんの今の幸せもしっかりと確認しました。
ここでも一つ嬉しい事が、私の娘と息子は母の事を今でも『ばあたん』と呼んでいるんですよ。
はじめに娘が言い初めて、息子もそう言っています。
ふざけて『おばあたん』ということも。
家族っていいなあ~朝からほっこり。
『なんとえ~話こだったんし~』
Commented by miki3998 at 2017-10-13 13:04
momoさん、なかなかお昼間にテレビの前に居られなくてね、深夜のアーカイブ番組で見ました。翌日の西会津のお天気母さんは二度目、今朝は仕事が休みで津軽の雪の日と、いい内容を続けて見ることができました。
庄司さんの奥さんのまめなこと、仏さんに備える草花を収穫した時の嬉しそうな表情や、お孫さんが風呂の焚き付けを覚えたお話、大泉さんの屈託のない笑顔、手作りのベンチに腰掛けてまずは奥様に缶コーヒーを差し出すところ… まだまだ、いえ全ての場面が素晴らしくてしっかり目に焼き付けました。
北鎌倉は雨で、窓からたわわに実った柿の実が見えます。金木犀の香りと橙色の柿の木が秋の風景。明日は孫の運動会ですが、仕事で行けません。長雨になりそうで中止になりそうですが、下の孫共々、だんだんお話が上手になり、聞き手にまわる楽しみができました。すっかりオバアタンです。
Commented by bh2005k at 2017-10-13 13:23
まぁ mikiさん、お誕生日だったんですね~♬

❤ お誕生日おめでとうございます ❤

お嫁ちゃんとご一緒のお誕生日を 毎年ご一緒にお祝いできること お幸せなことですね。
いつまでも お元気でご活躍されるように願っています!
Commented by miki3998 at 2017-10-13 13:44
チェイルさん、ご無沙汰しています。
62歳になりました。嫁さんはしっかり者で、だらしない私はいつも助けられていますよ。孫たちも元気だし、普段は忘れて仕事にどっぷり浸かっているので、役に立たないオバアタンです。せめて自分の健康のみ気をつけて、家族みな笑って過ごせる毎日ならいいなあと思ってます。体は相当ガタが来てますが、気持ちはしっかりとね。(それも危ないけど)
Commented by amamori120 at 2017-10-19 22:31
miki先生  お晩です♪

遅ればせ乍ら お誕生日おめでとうございます

更に良い一年になりますやうにぃ~ (^^)/
Commented by miki3998 at 2017-10-19 22:35
雨漏り先生、ありがとうございます。年々時間が経つのがあっという間で、このぶんだと、あっという間に70歳…てなことになるんだろうなあと。人生100年時代、まだまだ元気で頑張らなきゃ!です。
Commented by barnes_and_noble at 2017-10-20 10:10
>mikiさん、おはようございます。ご無沙汰しています。コメント、嬉しかったです。自然の中に身を置くと、景色の中に色々な物や音を発見し、体がリセットされる感じがします。行けなくても画像で味わうのも素晴らしいことだと思います。私も観たかったなあ。
流れていく日々の中で、誕生日というのは区切りの1日。素敵な1年になりますように。
ただ今、狭い1軒家に7人家族。目の回るような暮らしですが(10kg体重が落ちました)、今の状況を楽しみたいと思っています。


Commented by miki3998 at 2017-10-20 13:45
barnsさん、お久しぶりです。大家族、何よりじゃないですか。うれしい悲鳴ですね。子供達の独立は喜ぶべきことかもしれませんが、だから別居すべきという短絡的な意見には首を傾げてしまいます。昔「ただいま11人」というホームドラマがありましたが、世代の違う家族がひとつ屋根の下で暮らすことは幼い子供にとっても、また年寄りにとってもいいことだと思いますよ。しかも痩せられる… 私は10キロ太りました。楽しているからかしら。まめに動き、暮らしを楽しみながら家族を見守ってやりたいです。
Commented by syo-kunin at 2018-01-01 08:03
mikiさん
あけましておめでとうございます!!

コメント残ししてませんが拝見しています(汗)
本年もどうぞ宜しくお願い致します♪
Commented at 2018-01-16 21:38
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
by miki3998 | 2017-10-12 01:34 | 家族 | Comments(12)

森とラジオと食卓と…草花の仕事とラジオパーソナリティ、やってます。


by miki3998