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 花巻の父と息子  

 
 
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   母が54歳の時の写真です。このとき、息子たちが二人同時に肺炎にかかり、入院しておりましたが、無事退院。ところがその後次男が水疱瘡にかかったものですから、長男だけ花巻の実家であずかってもらうことに。 何も知らない長男は、喜んで母に連れられ里帰り。ひと月の間、私たちと離れて独り、田舎で暮らしました。

   ある日、母が外出し、父と二人きりになったのだそうです。虫の居所が悪かった父は、長男に八つ当たりをして大声で叱りました。すると息子は「おじいちゃん、日吉はどっち?」と、尋ねました。父は息子に「あっちだべ。日吉なんか とおいんだぞ。」そう言って、私たちの住む日吉の方角を指差したのだそうです。息子はその方向にむかって「ママ〜、ママ〜。」と泣きながら叫んだそうです。それまで淋しいとはひとことも言わず、息子は父や母と楽しそうにひと月も一緒に暮らしていたのです。それが一気に淋しさが募り、私のことを恋しく思って泣いたのかもしれません。

   その出来事を実家の父は、ことあるごとに思い出しては私に謝りました。あの時の大人げない行動、孫を叱った時の心の痛み、そして何よりもひとりで田舎で淋しさをこらえて我慢していただろうに、かわいそうなことをしたと、何度も何度も頭を下げました。日吉の方向に向かって母親の名を呼ぶ孫の声が脳裏にこびりついているのだそうです。以来、どんなに息子がやんちゃになろうとも、生きることに迷い心配をかけようとも、ひたすら孫を信じ応援し、一度たりとも孫を悪く言わない父です。日帰りで孫の顔を見に来て、抱きしめただけですぐに帰った日もありました。


   なぜか今日その話をふっと思い出して、私の名を呼んでいる息子の姿を想像してしまいました。麦わら帽子をかぶり、父の自転車の後ろに乗せられ、どこへでも付いて歩く子供だったのに、その子ももう25歳。自分の所帯をもったのです。急な話だったので、まだ私も実感がわきませんが、心のアルバムの一枚一枚をひもとくように いまゆっくり思い出しています。(4年前のブログ、ちょうど同じ6月30日でした)
  誰よりもお前を愛してくれた人を忘れないで、そう伝えてきた私。それが息子にとっての祖父であり、祖母であり、私たち家族だったのですが、これからは息子と苦楽をともにする最愛の伴侶ができたのですから、もう私たちから嫁さんにバトンタッチです。 
  近いうちに二人で、花巻に里帰りしてくれるといいます。 父も母も首を長くしてまっているでしょうから。

  
  猛暑が続き、年寄りには酷な毎日だと思います。老いてゆくだけで足腰も自由に動かなくなってきた私の両親。孫の結婚式に出るまでは頑張って長生きすると言っていた父ですから、式こそあげなかったものの、念願の孫の嫁さんと会えるのです。きっと喜ぶに違いありません。仕事の調整をつけて、二人そろって新幹線に乗る姿を想像することにして、父と母には体に気をつけて、一日も長く元気でいてくれるよう伝えます。 

  
   お祝いのメッセージを寄せて下さった皆様。本当にありがとうございました。ふつつかな息子が今日まで頑張って来れたのも、周囲のみなさまのお力添えがあってこそです。お世話になりっぱなしで恐縮ですが、今後も若い二人をどうぞ応援してやってください。よろしくお願いします。
by miki3998 | 2011-07-01 20:09 | 家族

22歳の春  

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  ここ数日息子の友達が遊びに来ています。今回の震災で息子の大学は卒業式がありませんでした。証書は取りにいくか郵送です。ちょっと寂しいけれど仕方がありませんね。おかげさまで無事卒業できたことに感謝と、4年間往復3時間かけて通い、帰りにアルバイト。一度も休まず、時には代打でお店に出て行きました。誰かさんに似て、頼まれれば嫌と言えない性格で、帰宅時間が午前1時という日も週の半分はありました。あのユニ◯ロで入学から卒業まで4年、まさに勤労学生を貫いてくれた息子にご苦労様と言い、代わりに息子からもらった言葉、「卒業まで支えてくれてありがとう。」の言葉でした。

  残念ながら今現在就職活動続行中、返事待ちがいくつかありますが、確定している会社はなく、就職浪人となりそうな雰囲気です。ま、それも含めて、彼なりに将来のことは考えているでしょう。私は心配していません。以前にもブログに書いたことがありますが、海外に出かけてみるのもいいでしょう。つかめていない未来なら、その先に何があるのかじっくり探してみるのもいい。あくまでもブランドにこだわった就社ではなく、やりたい仕事を選ぶ就職をしなさいとだけ言って、あとは本人に任せています。信頼して応援するスタンスは以前と変わっていません。しばらく息子は被災地へのボランティア活動に加わりたいと考えているようです。行ってこい、東北、しっかりね息子!



  週末ミカちゃんが遊びに来てくれて、久しぶりに3人で食事。息子と歌の練習をしていたようです。(二人は『ぼくのいえ』というユニットを組んでいます)家の中に女の子がいるっていいですね。ねえねえ、ちょっと写真撮らせてね。。。そう言って一枚カメラに収めました。


 
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  一日おいて、昨日は中学時代の友人が二人、久しぶりに遊びに来てくれて、家鍋。シャブシャブをしながらこれからの自分たちについて話が盛り上がります。彼、H樹君、なかなかの二枚目でしょ?性格もいいの。やっぱり男はこうでなくちゃ。。。彼は将来農業をやりたいとその方面の大学にすすみ、着々と準備しているようです。もう一人のK人君は新入社員、恵比寿から終電で帰って来たその足で訪ねて来てくれました。彼は中学時代から広告代理店に進みたいという志を貫き、外資系の会社に進み、希望通りに夢を実現しました。なかなかの情報通で仕事熱心。会話が上手で、私のようなおばさんとも楽しくおしゃべりをかわしてくれます。1時過ぎに来たのに、結局話題は絶えず。ベッドに入ったのが午前4時半を過ぎていました。もちろんK人君は普段通りに出勤。7時半には湘南新宿ラインに無事乗車!したはずです。 がんばれ、新社会人!

 
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 それぞれの歩む道は違い、そのテンポもゆっくりだったり順調だったり。。。でも少しもぐらついていない、それぞれが違うのだから、それでいい。お互いを刺激し合い、受け入れ応援しあう。たまにしか会えないけれど つながっている関係、そんな印象でした。
  
  今夜は息子が一人で侘助へ。たまにはいいかなあって。。。私? 留守番してます。(笑)
by miki3998 | 2011-04-14 21:22 | 家族 | Trackback | Comments(18)

 3.13  通じました。

 

  たった今、電話がありました。
  受話器を握る息子の声が急に明るくなり、花巻からだとわかりました。
  真っ先に元気かと問いましたら、出たのは弟。 
  みんな怪我もなく無事だということ、電気も復旧したから安心してくれと、
  言葉少なに応えてくれました。
  深夜だったこともあり、部屋には一人でいるようでした。
  明日も早朝出勤でしょう。冷え切った部屋のヒーターに やっとスイッチが入ります。
  青く燃える炎を見ながら、弟もほっとしているでしょう。

  「とうさんど かあさんは なんじょしてらえ?」と聞くと
  
  「おやじもおふぐろも ゆれるたんびに ぐえわるぐなって ねごんでしまったじゃ。」


  台所も床の間も 風呂場も二階も惨憺たるもので、足の踏み場もないそうです。
  片付けようと思って動いても、追い打ちをかけるようにまた揺れる
  たび重なる余震に父も母もすっかり落ち込んだのでしょう。無理もありません。
  
  過去に十勝沖地震、宮城県沖地震と大きな地震を経験していますが、
  今回はそれをはるかに上回る震度6という大きな規模と広い範囲の被災地。
  朝起きてやっとついたテレビであの津波の映像を見たら
  年老いた両親は二重にショックを受けるかもしれない。
  
  今夜は報告だけで十分、無事でいてくれたのですから。
  最後になりましたが、一緒に祈ってくださったみなさま、心から感謝いたします。




  ツイッターで見つけた呟き

   sorarium 「 みんなただただ怖くて不安で、誰かを守りたいという気持ちで一杯なんだ。。その気持ちを激しい言葉と罵倒で非難するのはやめてあげて。誰かを諭すのに誰かを傷つける必要なんかない。同じ意味なら、言葉を選ぼう。言い方は色々あるし、一番受け入れられやすい言葉を使えばいい。」
 
 

  被災地での炊き出し情報 → http://okguide.okwave.jp/guides/40782

  「傍観者ではなく“当事者としてできること”--東北地方太平洋沖地震」 http://bit.ly/hsOxok  

  3/12 23:37 日本透析医会の透析可否情報です 拡散お願いします http://ow.ly/4d475


   お返事はブログをお持ちの方はそちらへ、そうでない方をここにと・・・
   ゆっくりですみません。 伝えたいことがたくさんあって、ブログ更新を優先させてくださいね。

by miki3998 | 2011-03-13 02:19 | 家族 | Trackback | Comments(52)

かあさん、ミセスさ載ったよ。

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  かあさん、けがのぐあい、なんじょだえ? いぐなったっか?
 いっつもしんぺばりかげで ごめんやあ。
 きょうは いいしらせだがらっす おどろがねんで きいでけでや。
 あのっす かあさんのすぎな あの本さ、ちっちぇ記事だども おらのごど のったのっす。
 いまごろは 本屋さんの棚に並んでいる頃だど思う。
 明日がら買えるがら マウイさいって かってきてもらってや。
 
 ちいせごろがら おらへの 本棚さ 1月から順番にならんでらったね。
 芳文堂のおじさんが バイクで毎月とどげでけだったね。よぐ おべでらよ。
 ブラウスやワンピース 編み物もそだったなあ、 
 本ばひろげで 「 どれにするの すぎなのえらんでみで。」
 いっつもかあさんは 新聞紙さ型紙ばおごして つぐってけだったなはん。
 どのページも キラキラしてで。。。どれにするべって まよったもんだ。
 ひな祭りも七夕も 裕福ではねがったけど できるごどだげ まねして、 
 ちいせ いえのながの 玄関も 床の間も 季節のはなっこかざったり、人形おいだり。。。
 かあさんは いっつも 工夫して おらだぢ家族ば たのしませでけだったもね。
 料理もそだったなあ。
 うぢでも でぎそうなものみつければ すぐに うめもの つぐってけだった。
 ミセスの本は炬燵のそばさおいであって、ひまさへあれば すみずみまで 読んでるかあさん、
 いまおらも テーブルの上さおいで、つぎの本がでるまで ひと月かげで読むのっす。
 

 
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  そのミセスさ載ったんだよ。 
  かあさんは いっつもおっかねくて あんまりほめられだごどねけど 
  こんどのごどは いがったなあって よろごんでもらえるべが。。。
  「 なんたら、おめはんも ばがだなはん。。」って 
  ラジオの仕事のごども、おらの体のごどしんぺだから すぐには よろごばねがった。
  だども朝はやぐ でがげるどぎ、ちゃんと おぎで みおくってけだっけ。。。
  おら おべだよ、かあさんが おうえんしてけでるごど。
  
  料理も花も子育ても かあさんには いづまでたっても かなわねぇ。
  だどもっす、こうして おらでも だれがの やぐにたってらどおもえば
  なんだが いぎでで いがったなあって。
  かあさんのすぎな本、おらも一番にすぎな本、
  誰よりも、かあさんがよろごぶかお おもいうがべだよ。
  とうさんさも おしえでやってけでや。

  かいでらごどは いいごどばりでねけど
  いままでのごど こうかいしてねよ、おらは。
  こどもだぢも よろごんでくれだし、
  まだまだ これがらだもね、おらは。
  自分のために いぎでみる、 いいべ、かあさん?
by miki3998 | 2011-03-06 15:03 | 家族 | Trackback | Comments(68)

干し柿とニシキギ

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  きたきた、実家からの宅急便。大きな段ボール4個。いつものお兄さんじゃなかったなあ。もう荷物が多くなって宅配便屋さんも大忙し。毎日のようにいろいろ届くので、何屋さんですか?と逆にこちらが問われるくらいに 新入りのお兄さんと仲良くなった。たぶん明日も荷物が届くからよろしくね、そんな会話も楽しむ時期なんだね。

  開いた箱にはそうっと新聞紙に包まれた箱があって、他に袋入りの柿と一緒に つぶれないような仕掛けがしてあった。袋の柿は焼酎で渋柿をさわしたもの。そしてこの箱は同じ渋柿を軒先に吊るして作った干し柿。ぷっくりとしていてふわっと柔らかい。干しては乾かし 固くならないように手でもむ。それを何度も繰り返す。しわの寄った手と節高な指の母が くるくると柿をもみながら甘くなれと思いを込める母。その干し柿をつぶれないように箱に並べる母。ひとつ口に入れながらそんな母を想像する。柔らかい舌触りは母のおかげ、こっくりとした甘さはお日様のおかげだ。

 
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 小さな庭で育てた南天の実。紅白で毎年たくさんの実をつけてくれる。
 私のリースには欠かせない素材。大きさもマットな感じのその色も 他の緑としっくりくるのが南天の実。白い南天の実は なかなか手に入らない。

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  そしてニシキギの枝。葉も見事に紅葉し、小さめのリースに使えるちょうどいい大きさだ。いつ見てもこの枝の不思議な形に感心する。そうだね、カミソリの刃のようだと言えばわかるだろうか。小枝のはじまで互い違いに形を変える。

  ニシキギの実も可愛いものだ。いつもなら早めに剪定して ところどころに小さくて可愛い鈴のような実(マユミの実に似てるかなあ)もついてくるのだけれど、体調が完璧でない母に あれこれ頼むことはできなかった。いいのだ、いまあるものでつくればいいのだから。これで十分。ありがとね、母さん。 
 そろそろ3時だ。暑い番茶を入れて 干し柿をもうひとついただくよ。


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( お昼は湯葉のまぜご飯。 こちらは焼酎でさわした柿。ジューシーだ)



 
by miki3998 | 2010-11-23 14:33 | 家族 | Trackback(1)

最後の学園祭

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  11月1日、ラジオの放送が終わったその足で、向かった先はまずは銀座(この日は超過密スケジュール)、大好きなアップルストアに直行だ。悩みに悩んで新しい世界に飛び込んだリンゴの世界。先月iphone4に買い替え、遅ればせながらリンゴ族の仲間入り、そろそろ慣れてきた、、、つもり。そこで思い切ってパソコンも出たばかりのカワイイあいつを相棒にすることにした。もちろん私専用。サクサク調子がいいぞ!画面もきれい、じゃまくさいマウスもないし、いたってシンンプルなスタイルも気に入った。どうやらこのまますっかりリンゴ大好き人間になりそうだ。

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  軽くて薄いあいつを肩から下げて、次は市ヶ谷へ。息子の大学の学園祭、来春卒業の息子、これが最後のステージになる。昨年は母と一緒に応援に来て、とっても楽しかったのを覚えている。ピアノサークルのメンバーと一緒にユニットを組んでいて、ひまさへあれば歌とギターの練習。スタジオのレンタル代を捻出するためにアルバイトをしているようなものかもしれない。その甲斐あって、ステージは上出来、盛り上がりぶりには正直鳥肌が立った。(親バカですから) ボーカルのミカちゃんがいい味出している。歌って踊ってシャウトして、、、。これが青春だ! いや、青くないな、もうセミプロ並み、オリジナルの曲はミカちゃんそのもの、かわいい! ちなみにユニット名は ぼくのいえ ださいなあ、、、と一瞬思ったが、息子なりに意図があるんだろうな。 ぼくのいえはどんなふうにつくりあげてくのやら。彼の学園生活はこのわずか20分のステージに集約されているのかもしれないな。終わった後のあの爽快な笑顔、悔いなんてあるはずないよね。 なによりもお前は 仲間という宝物を持っているのだから。

 
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by miki3998 | 2010-11-04 12:16 | 家族 | Trackback | Comments(12)

 生きてりゃいい  生きてりゃ・・・。

 
  
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    「 こんばんは。 元気でいだっか? 誕生日 おめでとう。 」

   いましがた母からの電話があった。
  10月1日、55回目の誕生日、いつもと変わらぬ夕飯を済ませた頃合いを見てかけてきたのだろう。今朝はピンチヒッターでいつもの番組を担当していて、朝から出ていたので、何かあったのかと心配したようだ。

    「 なんにもしてけれねくて ごめんや。まんつ 無事でいがったなはん。米まだあるっか? そろそろおぐるっか?」
   あれこれ気遣う母。つい先日里帰りをしてきたばかりなのに、故郷がやけに遠く感じた。
    
     「 とおさんさ かわるなはん。 ちょっとまってでや。」
   足の悪い父が 居間の奥から歩いてくる様子を想像する。

     「 どうだぁ、 そっちもさむぐなったべぇ。 かぜひいでねが? 」
     「 うん、おがげさんで みんなげんきだよ。 とうさんは?」
     「 おれがぁ? あぁ、 あしたしぬがもしれねなぁ。 ははは、いぎでりゃいいんだ、いぎでりゃ。 おめも くよくよしねんで ちゃんとたべで げんきでいろよ。 こめは たらねぐならねよに、おおめにいっぺたぐんだぞ・・・。」

  いったいいくつの娘だとおもっているんだろう。 風邪引くな、飯は多めに炊け。くよくよするな・・・。 いきてりゃいいんだ、いきてりゃ・・・。 グッときた。

     「 とうさん いいごどいうなはん。 うだ、いぎでりゃいいのっす、いぎでりゃ。」

   私も自分に言い聞かせながら、父に言葉をかけた。涙もろくなった父は、笑うふりをして電話の向こうで泣きじゃくっているようだった。すぐに息子たちに電話を代わり、私も心を落ち着けた。孫たちの元気な声は、老いて行く父の元気のもとになるに違いないから。

     
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83歳になる父は 規則正しい生活をし、暴飲暴食など皆無、心身ともに無理をせず、愚痴ることもなく、しずかに日々を暮らしている。

     「とうさんはまるで 宮沢賢治みでだねぇ。ははは。玄米じゃね、白米4合だどもっす。」 つまらぬ冗談を言って、父をはげますつもりだった。

     「うだうだ。 のぞむものなんか ねもな。 じゅうぶんだ、いまが いぢばんだ。」

   母は口に出して あれこれ気遣う人だが、父は寡黙でただ見守る人。その父が懸命に娘を励まそうと 父なりの不器用な表現で語りかけてくる。肩の力を抜いて、なるようにしかならないのだから、いらぬ心配はやめて、ゆったり今を生きろと言われているようで、胸が熱くなったり 心が軽くなったり・・・。 

    息子たちが夕飯の後、食べた食器をかたづけ、ごちそうさまと大きな声で私をねぎらってくれた。外食よりも家食を好む息子たち。特別な御馳走ではなくても、いつもどおりみんなで食卓を囲める幸せを噛みしめた。


    
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   *** メール、ツイッター、お手紙で誕生日を祝ってくださった皆様へ ***

     お目にかかったこともなく、何一つお返しもできないわたくしですが、
    いただいたメッセージに 温かさとやさしさと さりげさが感じられるものばかり・・・
    一つ一つの言葉を今一度読み返しているところです。嬉しかった、本当に、ありがとうございました。この場をお借りして 心からの感謝とお礼の言葉とさせていただきます。
     ほんとうに 本当にありがとうございました。
by miki3998 | 2010-10-01 20:07 | 家族 | Trackback | Comments(72)

里帰り その2  「父の柱時計」

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  実家のリビングには柱時計がかけてある。今の時計で確か3代目だったと思う。ずっとゼンマイ式の時計を愛用していて、今何時かなと思って頭をあげて時計を見るのが日課になっていた。夜になると毎日そのネジを父が踏み台に上ってギコギコとネジをまわす。右と左に二つその穴が合って、鍵のようなものを差し込んでゼンマイを回すあのタイプだ。 
  いつからかそれが電池式に代わっていた。足の悪い父が、年をとって踏み台に上がるのも危ないし、最近では指も思うように動かないらしい。電池式ならしばらくほっておいても定時になると時間の数だけボーンボーンと鳴って、時間を告げてくれる時計だ。
  その時計が針が動いてはいるのに、時刻を告げるあの音が鳴らなくなってしまったのだ。私が帰って来たというので、車で自由にでかけられるから、一緒に時計屋に修理をしてもらいに行こうということに。息子も連れて一緒にドライブがてら花巻の街へ。(ちなみに田舎では出かけることを≪まぢさ いぐべ!≫ と言う)

  阿部時計店、懐かしい。いまは亡くなってしまったけれど、私の幼稚園時代からの同級生の家だ。ジュン君という垢ぬけた感じのおぼっちゃまだった。隣はタイル屋で、そこの娘も同級生、こちらも手足の長いすらっとした美人姉妹で、みんな一緒に登下校したものだった。今は兄貴が継いでいるらしい。
  「 もさげねども この時計 いっこど音がしねぐなったのっす。 みでけねべが? 」
  父はそう言って、修理師らしいおじさんに柱時計を渡した。ギョッとした。この人も見覚えがある。すっかり白髪の老人になってしまったけれど、時計を買いに来た頃は営業畑一筋、腰が低くていねいで、時計のことなら何でも知っているって感じだったなあ。教師になって初めての給料でオメガの腕時計を買ったのもこの店。確か月賦で・・・。

  ほどなくしてその人は店の奥から直した時計を持って出てきた。頭の上に修理をするときのあの顕微鏡のようなメガネをずらし、腕には黒い肘カバー、職人スタイルだ。若い頃よりひとまわり体が小さくなったような気がしたが、笑顔は変わらない。あの人だ。

   「 これでだいじょぶだ。音っこなるよ。 電池代だげいだだぐなは。 それにしても Tさんはとしとらねなぁ。 」
   「 あいや、 ほだったっか? もさげねぇなあ。 ありがど ありがど。」
    
  父は嬉しいと 同じ言葉を何度も繰り返す癖がある。 ありがど ありがど・・・。

  時間にしたらわずか3分、電池代220円なりで時計は直った。こんなことでもなければ私もこの店には足を運ばなかったろう。電池も時計も、暮らしの買い物は大手の量販店に行きがちで、壊れれば新しいものを買う時代。壊れたとしても、まずは直して使おうとする父や母。子供の年齢と同じくらいの時間と生活を共にした家財道具が我が家に多いのが改めて分かる。 父は嬉しそうに時計を抱えて車に乗った。


     
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 祭りが近づき、街のあちこちに神輿や山車が準備されている。帰りに寄った照井団子屋の隣にも町内会の神輿が出番を待っていた。 この店の団子はうまい。餡子に醤油、お茶餅に経木団子。きりせんしょもうまいが、一番好きなのが経木団子。 黒蜜と胡桃が入っていて、別名無調法団子。 一口で食べないと黒蜜が飛び出し周りを汚しかねない。

    「 はれでいがったなっす。 まづりのあいだばりも ふらねでければいいどもねぇ。」
    「 うだうだぁ。 なしてだがぁ、おまづりのどぎ かならず あめふるっけをねぇ。」
 
   団子をつつみながら心配そうに空を見上げるおばちゃん。私も同じ空を見上げて同じことを祈った。 祭りはこの日から始まり、小中学生は午前授業。みんな山車を引く稚児さんや神輿の担ぎ手として活躍する。  そろそろマウイも帰ってくる頃、急いで帰らねば。
   
by miki3998 | 2010-09-21 15:56 | 家族

   里帰り その1   「 深夜バスの旅 」

 
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     ( 息子と往きの横須賀線で。親子とはいえ、同じポーズ!? 笑っちゃいます。)

  今年は息子と青春18切符で里帰りを予定していたのに、ドジしちゃいました。
  9月10日まで有効なので、購入も旅の前日にでもJRの窓口で変えるものと勘違いしていた私。買えるのは9月1日まで、6日のラジオが終わって息子に言われるまでまったく気が付きませんでした。まったく、もう~~~なお袋です。そこで単に新幹線の旅は当たり前というわけで、急きょネットで検索。なんとか別な方法でこの夏は里帰りしようと「深夜バス」にトライしてみました。
  6日ラジオが終わってその夜出発、花巻につくのは翌朝の8時半です。次のラジオの仕事に支障がないように鎌倉に戻るには一日だってもったいない。できるだけ両親の傍にいてあげたい、そして料金は新幹線の3分の1、息子も乗り気で早速予約。出発は東京駅23時15分、新丸ビル前です。


  
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(  夜の丸の内。ビルの灯りが宝石のようです。夜の姿もデザインされています。)

  以前先輩が深夜バスで帰郷した際、どこか寂しく侘びしさを感じたと言っていましたが、なんのなんの、バスはほぼ満員でカップルや若者、サラリーマン風の30代の男性が多く、親子で乗り込んでいるのはうちだけ。なんだかワクワクしてきました。目的地は同じ東北。福島や仙台、終点盛岡まで夜の東北道を突っ走ります。


  
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   息子はバスの旅には慣れているので、始めはツイッターで実況中継をしながらはしゃいでましたが、仙台あたりでダウン。この頃は外も白み始め、窓から見えるのは緑多き古川あたりでしょうか。私も乗車して1時間くらいはカーテンの外を眺めていましたが、気がつけば爆睡。トイレタイム以外は夢の中でした。新幹線なら3時間、深夜バスは9時間、料金は3分の一でも かかる時間は3倍です。さて、安いと見るか高いと感じるか・・・。ちなみにリクライニングシートとはいえ、歩きまわれないので同じ姿勢がしばらく続きますから、年配の方にはちょっと辛いかもしれませんね。私? 若いつもりですってば!(笑)

  
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水沢(いまの奥州市)あたりから見覚えのある景色が目に入り始め、7時過ぎにはスッキリ目覚めた私は、北上に入るともうわが庭のようなもの。(笑)黄金色の稲が並ぶ田んぼやおおらかに流れる北上川、早朝の商店街に開店前の床屋や学生時代に立ち寄った本屋などが目に入ってきます。
 「ただいま。」とつぶやきながら、バスの旅ならではの故郷の街がより身近に感じられる朝でした。

  
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  停留場は実家から15分ほどの在来線花巻駅の裏口。息子と二人歩いて到着。リビングから父がこちらを見ている様子がわかり、息子と私は大きく手を振ります。おじぎをする父。分かっていないなあ、たぶん、誰かご近所の人だと思い挨拶をしているつもりのようです。いつもなら新幹線で帰り、駅からタクシーで乗り付けるのですから、まさか深夜バスで帰ってくるとは思わなかったのでしょう。まして、駅から歩いてくるとは・・・。父も母も驚いていました。

「 Kちゃんさ似だひとだなあっておもってらったな。つかれだべぇ。なんたらなあ、帰りは切符買ってやるがら 新幹線でかえるんだっちゃ。」

  父は喜びながらも今にも泣きそうな顔でそう言いました。母もあきれ顔です。50をとうに過ぎた娘が、リュックを背負って、孫と二人駅から歩いてきたなんて・・・それも朝から。

   「 おめはんも わげぐねんだがらっす。 まだぐあいわるぐなったら なんじょするのっす。」 
  母は相当怒ってます。 来た早々説教されました。まだ病み上がりだと思っていますし、確かに若くない・・・。どこまでも心配ばかりかける親不孝な娘だあ・・・です。

  どうやら年寄りには深夜バスは 昔の物悲しい上京風景を思わせるのでしょう。不評でした!
  なんの準備もしていなかったとブツブツ言いながらも、手添えなしで普段どおりの朝食をさっと用意してくれました。母の作った好物の漬物を食べながら温かいみそ汁とおいしいご飯にありつけたのですから、私も息子も大満足の旅だったのですがね。(笑)
by miki3998 | 2010-09-18 11:39 | 家族 | Trackback | Comments(19)

デートスポット  

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  水曜日、急に誘われて横浜で映画『インセプション』を観てきた。久しぶりの映画、去年の『サイドウェイズ』以来であり、男性と一緒に観る映画は何年振りだろう。(ワクワク)帰る頃はすっかり日も暮れて、あたりはいい雰囲気のデートスポットと化していた。まるでクリスマスイブのようなイルミネーション・・・

  
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こんな感じ。 せっかくだから食事でも・・・と、ブラブラ歩きながら横浜駅方面へ。年下の彼は色気より食い気、トンカツが食べたい!などと あまりロマンティックではないお店をリクエスト。ま、いっか、夜はこれからだ・・・。

  
  
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  ふと誰かに見られているような気がして振り返ると、ビルとビルの狭間から丸い月が。今夜は月までが味方してくれている。


  付き合ってくれた彼は映画が好きで、このシアターにはよく来るらしい。カフェで人気のゴディバのアイスなど見向きもせず、まっすぐコンビニに入り ミネラルウォーターだけ買って涼しい顔で予約席に。最近は観た映画はと質問すると、「トイストーリー3」だそうな。 ちょっと幼いか・・・まあ、いい。「あの映画は感動する。いい映画だったよ。」確かに! 私もバズライトイヤーのファンである。 (今回も吹き替えは所ジョージかなあ。)

  あ、二人で見たのは「 インセプション 」のほうね。始めから終わりまで、お互い一言も口をきかず、じっとスクリーンに集中。 時々腰が痛くなって、私は寝がえりを打つように体を回転させてはシートに体を沈めた。 そう、私はずっと沈めっぱなしだった。 ある意味疲れる映画かもしれない。(笑)
  まだ見ていない方のためにも ネタはバラさない。 というより、なんて言って説明すればいいんだろう・・・わからないから、バラせないのだ。 主役はディカプリオ(ちなみに 私は他の二人の相棒のほうがいいな、ひとりはドン・ジョンソンみたいな色男)と渡辺 謙。女子大生役のエレン・ペイジは前作「JUNOジュノ」で一躍スターダムにのったのだけれど、今回はどうなんだろう。ちょっと物足りない感じがした。映画の解説はしない。予告やCMで 街がひっくり返る映像を度々みているだろうしね。

  
  で、トンカツ屋に到着。 脂肪が嫌いという彼はヒレカツ定食、私はいろいろな揚げ物がミックスされた向日葵定食。私の海老フライをじっと見つめる彼に「 食べる? 」、もちろん大きくうなずく彼。(笑)「 それにしてもあの最後、どうゆうことなんだろう? 」「 うん、あそこの意味がわからないよね。」「 激しく同感!」 などと、会話もすすむし、ご飯もすすむすすむ。結局おかわり3膳なり。( こいつ、よく食べるなあ・・・)


  「 ありがとう、ごちそうさま!」
  「 今日は私のおごりだから、帰りは買い物に付き合ってくれる?」
  「 いいよ。おやすいご用です。」

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  これ? チョロキュQじゃないよ。でもこうしてお行儀よく並んでいると 可愛い、おもちゃみたいだね。ここは日本中で一番充実したショールーム、たぶん。受付のおねえさんも とっても美人。そちらも日本一?! 息子は子供の頃車が大好きで、ポケットの中にはいつもチョロQが入っていて、車の名前ならなんでも言い当てた。あの頃が一番かわいかったなあ・・・などと、しばしうっとり思い出に浸る。 
  

  「おふくろ、何ブツブツ言ってるの? はやくしてよ。行くよ!
  「 はい、はい。」(返事はひとつでいいんです。)

   
  年下の彼、経済観念はあるほうかもなあ。無駄なものは買わない、見栄も張らない。たぶん彼女と映画を観に行っても たいした贅沢もせずに トンカツ屋か回転寿司あたりでワシワシ食べて、ムードのないデートなんだろうなあ。いや、彼女といるときは別だって? それはそれでいい。お袋とデートスポットに行ったとしても さっさと先を歩いている。当たり前だ。ブツブツ・・・ そんなことを呟きながら 結局お決まりのスーパーで食料品を買って、ポーター代わりの息子に持たせるのだった。 うん、猫よりまし、助かるよ。


 いけない、読むラジオ、たまりにたまっている。 もう明日は月曜日。 Ustreamもほぼ定着して、電波が届かない人にも、パソコンで聴けるようになった。アーカイブも大丈夫なので、明日の読むラジオ、待っててください。 さ、仕事仕事。
by miki3998 | 2010-08-01 18:00 | 家族 | Trackback | Comments(21)

風と海と丹沢が好き。山の家での毎日を綴っています。鎌倉FMのパーソナリティです。


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