チューリップ 『パレルモ』
2015年 02月 11日
この家に移る前、チューリップは埼玉の園芸農家にお願いして直接届けてもらっていました。鎌倉に越して間もない頃、知り合いの紹介でしたが、始めは一緒に注文をして分けてもらうというもので、まだ花の仕事をしていない頃のお話です。
実家の両親と同年代のご夫婦は、チューリップとカサブランカを専門に育てていました。開花のシーズンになると注文のお電話をくださるようになり、カサブランカもチューリップも一番花を好きなだけお願いできました。届くとリビングは花の香りでいっぱいになり、とても幸せな気分になるのでした。少しの量なのに手頃なお値段で注文を取ってくださいました。手間がかかる割にはさほど利益があったとは思えないのですが、毎回お電話で「うちのチューリップを選んでくれてありがとう。」とおっしゃっるそのお声は活気があり、こちらまで元気をいただく、そんな明るい方でした。
回を重ねるほどに草花の話だけではなく、子育てへのアドバイスをいただくようになりました。確かおつきあいが始まって6〜7年が経っていた頃だと思います。チューリップもカサブランカもいただくことが出来ない時期がありました。子育てで悩み、部屋に花を飾る心の余裕がなかったのです。そんな状況でしたのでお電話を頂いてもお断りしていました。
ある日一通のお葉書が届きました。そこには「私はあなたの一番の応援団、ずっと応援団長でいますよ。だから頑張ってね。」そう書いてありました。こらえていたものが一気に溶けたのを覚えています。温かいものが体から湧いてはこぼれました。うつむいていてはいけない。そんな時こそ花を飾ろう、そう思い再びチューリップをお願いして届けてもらいました。いまでは息子たちも大人になり、その方がおっしゃったとおり、笑って話せる時がきました。その後ご夫婦は年齢的にも体力的にも継続するのが難しくなり、お仕事を辞めることになったと丁寧なお便りをいただきました。
立春を過ぎたとは言え、北風はまだ冷たく指先がかじかむような朝でした。ラジオの仕事を終えての帰り道、花屋さんで八重咲きのチューリップを買いました。あの日届いたチューリップはピンクのアンジェリーケという品種でしたが、それに似た八重咲きのパレルモ、黒みを帯びた深紅のチューリップです。思い出と一緒にリビングに飾りました。
久しぶりに手紙を書こうと思っています。ご無沙汰をお詫びして孫の写真を同封します。
昨夜あれこれ書きたいことをつらつらと…結局徹夜しました。月日が流れ、本当にいろんなことがありましたから。
私は人との出会いは運命づけられていると思います。
「一番の応援団」この言葉で、きっとmikiさんがどれほど心強く思われたことでしょう、、と察せられます。
ご無沙汰しておりますがmikiさんのブログはUPされるたびに
読ませていただいていますよ。
お元気でご活躍くださいませ。
昨日仕事の合間に映画を観ました。「おみおくりの作法」というものです。見終わった後に、じんわり暖かいものを感じました。出会いは偶然でもどこかで繋がっていて、それがたぐり寄せられる様にしてその人と巡り会うような、必然なのかもしれないと思いました。人が一生のうちに何人の人と出会うのかわかりませんが、大切にしたいと改めて思った次第です。
ブログを読んでいたくださったとのこと、恐縮です。パソコンに向かう時間が遅くなるものですから、文章も寝ぼけたものになりがちですが、なんとか続いております。
母親として自信を失くしていた時でしたので、「一番の応援団」という心強い励ましをいただき、なんとか乗り越えられました。時は止まらず、前に進むだけですが、そんなありがたい出会いを忘れてはいけませんね。思い出させてくれたチューリップにも感謝しなければ。コメント、嬉しかったです。ありがとうございました。