ナナカマドの蕾

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  ナナカマドの蕾。
 西和賀の旅でお世話になったSさん宅の出窓に飾られていた。それは偶然ではなく、昨年のフィンランド旅行でのエピソードを覚えてらして、あえてこの木の花を選んでくれたのだ。

 フィンランド行きは仕事がらみ、あるイベントで会場を飾る花を任されたのだった。2月の北欧といえば見渡す限り銀世界、雪をまとった白樺やモミ、シベリア赤松など、花らしい花はなく、花屋にも輸入物の季節とは無縁の草花が高い値段のまま売られているだけ…もちろん日本から持ち込めるわけもない。そこで私は現地の人に頼んで、白樺やナナカマドの木を切り、温室で育ててもらった。藁をもすがる気持ちと言えば大げさに聞こえるかもしれない。しかし出来るだけ現地の草花や木の花を使いたかったし、咲くかどうかより、身近な木の花に目を向けて欲しかったのだ。


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  奇跡が起きた。
 イベント当日に会場入りし、用意された木の花を見た瞬間ハッとした。なんとナナカマドの白い花が咲いていたのだ。あの時の感動は今でも忘れない。北欧も岩手も、気温が下がれば氷点下、温室とは言え開花の時期には早過ぎたはず。なのにお世話をしてくださった園芸家の方が丁寧な仕事をなさったのだろう。イベントの片隅で白く可憐なナナカマドの花はたしかに輝いて見えた…(私にはだけれど)。


Sさんはそのエピソードをしっかり覚えてらして、雪で折れたナナカマドを持ち帰り、ストーブのそばの出窓に迎え花として飾っていてくれたのだ。静かな感動と、ご夫婦やお嬢さんのさりげない優しさや思いやりに胸が熱くなった。


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花巻での教室を始めた当初から、Sさんは遠路はるばる車を飛ばしていらしてくださる。しかも母と娘のお二人で。お仕事をなさっているのに、時間を工面してである。お住いのある西和賀は岩手でも雪深いところで、花巻までは小一時間はかかる。いや、もっとかもしれない。私のレクチャーに耳を傾けて、熱心にメモを取り、物静かに頷く…どこまでも謙虚な姿勢と穏やかな微笑みの人だ。

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 その方からカタクリの群生地を訪れる旅へのお誘いを受けたのだ。本当にありがたく、尊い縁に感謝した。ご主人の山野草の知識やそこで暮らす知恵にも驚かされた。お借りした部屋のしつらいも申し分なく、ぐっすり深い眠りにつけた。正直言って、もう一晩ごいっしょさせていただきたいくらい、居心地のいい空間と温かいご家族のもてなしにすっかり甘えてしまった。
 

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 泊めていただいた部屋のリビングテーブルに置いてあった本です。
翌朝早くに目が覚めて、朝食前にざっと目を通しました。岩手カタクリの会代表でありSさんの友人でもある瀬川強さんの写真集でした。宮沢賢治シーズン・オブ・イーハトーブ。この本を選んでテーブルに置いてくださった心遣いにも感謝でした。


  (写真の料理はSさん親娘の手料理の数々。笹団子やビスケットの天ぷら、ぜんまいの煮物、蕗味噌のおにぎり、ノビルの葉の玉子焼き…ノビルをひろっこと言うらしい。味噌をつけて食べるのが私の好物)

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Commented by hanamomo08 at 2018-05-17 21:33
秋田でもひろっこといいます。
美味しそうなお料理、先日友人のところでとったぜんまいは干したら一握りになりましたがとても貴重な山の恵みです。
Commented by miki3998 at 2018-05-17 22:31
> hanamomo08さん
こちらのひろっこは、丈が短く、しっかりとしていて固まって生えていました。みなさん食べるのは初めてという方ばかり。北鎌倉では、裏の原っぱのあちこちでヒョロヒョロ生えてます。小指の爪ほどの大きさですが、もっぱらチャイブのように葉を刻んでスクランブルエッグに混ぜて食べます。

貴重なゼンマイ、やはり山菜の王者ですね。好物です!
by miki3998 | 2018-05-12 17:44 | 旅行 | Trackback | Comments(2)

森とラジオと食卓と…草花の仕事とラジオパーソナリティ、やってます。


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